「またかよ、まったく勘弁してくれよな? それより頼みがあるんだけど」

「何頼みって?」

杏奈はこんな田舎者のあたしに一体何の頼みだろうと首を傾げていた。

「来たばかりでこの島の事何も知らないんだ。この後島を案内してくれるかな?」

「なんだそんな事? もちろん良いけど別にたいした島じゃないよ。それにこれと言って観光できる様な所何もないし」

そうは言うものの、杏奈はあの遥翔と一緒にいられるとの思いから心臓が口から飛び出るんじゃないかと思うほどドキドキしていた。

「何言ってるの良い島じゃん、海はきれいだしさ。僕はこんな自然に囲まれたのどかなところ好きだよ。だけどずっと民宿にいるのも退屈なんだ、なぁ頼むよ」

(やだっ遥翔がこの島の事言い島だって、この島好きだなんて言ってくれちゃって、なんか嬉しい)

「けどほんとに何もないよ。それより大丈夫そんな格好でばれたりしない?」

この時の遥翔はTシャツにジーンズ姿というすごくラフな格好だった。

「大丈夫だよ心配しなくて、問題ないって。それにあまり人いないじゃん」

周りを見渡しながら言う遥翔。