そこは繁華街からは少し離れた周りに田畑が多く残る土地に建つ小さなアパートであった。

「ありがとうございます。もしよかったら上がってお茶でも飲んで行ってください、引っ越したばかりで散らかっていますけど」

「良いの? 一人暮らしの女の子の部屋に男なんか連れ込んで」

「何言っているんですか。大丈夫、遥翔さんは変な事しないでしょ」

満面の笑みを浮かべる杏奈。

「随分と信用されたもんだな? じゃあ一杯だけな」

遥翔は車を降り、杏奈と共に階段を上がると二階の杏奈の住む部屋に向かった。

「どうぞ、引っ越したばかりで散らかってますけど」

「杏奈ちゃんそれ二回目。何そんなに散らかってるの?」

遥翔の表情には笑みが浮かんでおり、そんな遥翔に笑顔で返す杏奈。

「そうでした? じゃあそんなに散らかってないかな?」

「なにそれ、おじゃましまぁす」

玄関のドアを開け杏奈の部屋に入る二人。

「へえかわいい部屋じゃん。全然散らかってなんかないよ、きれいにしているじゃない」

「そうですか? その辺適当に座ってくださいね」

杏奈の部屋に入った遥翔は部屋の真ん中にある小さなガラステーブルが目にはいった。