《お久しぶりです、おぼえていますか？　杏奈です！　今日上京してきました。取り敢えずお知らせしておきます》

「送信っと、あぁっほんとに送っちゃったぁ、返事来るかなぁ？」

杏奈はほのかな期待を抱きつつ待っていたものの、この日は遥翔からの返事を知らせる着信音が鳴る事は無かった。

「返事来ないなぁ。そうだよね、遥翔さんみたいな大スターがあたしなんかを本気で相手にする訳ないよね」

翌日も、その翌日も返事がなく諦めかけていた。

ところが三日後の早朝杏奈は鳴り響くケータイ電話の音で起こされた。

突然の着信に思わず誰からの電話かも確認せずに通話ボタンを押してしまう杏奈。

「もしもしだれ？　こんな早くに」　

半分寝ぼけた状態で電話に出た杏奈は、この電話の相手の声に一気に目が覚める事となった。

『おはよう杏奈ちゃん、ごめん起こしちゃった？』

「えっうそ！　遥翔さんですか？」

『そうだよ、その遥翔さん。なに驚いているの？　自分から連絡してきたんじゃない』

その声からは遥翔の微笑みが見てとれるようであった。