あの辛い宣告から一週間後、遥翔の病室は緩和病棟に移っていた。

それと共に担当の医師も変わり、最初の主治医である渡辺医師から女医の徳永医師に変わっていた。

緩和病棟に来てからの遥翔はある異変に気が付き、ある日その事を病室に来た看護師に問いただす。

「看護師さん、この病室に来てから今までみたいな副作用の症状が無くなったのは良いんだけどずっとぼーっとする事が多いんだ。どうしてなの?」

「気のせいじゃないですか? 何も変わっていませんよ」

とぼけてみせる看護師であったが、それでも遥翔の疑いの目は変わらなかった。

「そんな事ありません、先生呼んで貰えませんか」

「分かりました、聞いてみますね」

その後徳永医師の下に向かった看護師は、数分後遥翔のいる病室に戻ってきた。

「ごめんなさいね、今日は忙しくてどうしても無理なんですって。でも明日なら来てくれるそうですよ」

この時遥翔は患者が呼んでいるのに担当医が来られないという事があるのかと疑問に思っていたが、明日なら来てくれるという事で仕方なく受け入れる事にした。