「先生に何の用だったの?」

「何言っているの? 御手洗いだって言ったじゃない」

「トイレならこの部屋にもあるでしょ。下手な嘘つかなくて良いから言ってよ、どこに行っていたの」

「遥翔には嘘つけないわね、正直に言うわ。ちょっと先生に聞きたい事があったのよ」

「何ちょっとって、はっきり言ってよ」

「どの位で治るのか聞いていたのよ、遥翔には早く復帰してもらわなくちゃ困るもの、うちの稼ぎ頭なんだから」

「そんなの無理に決まっているだろ、なにが稼ぎ頭だよそんなのもう過去の話だろ。もう引退だよ足を切断しているんだぜ、もう終わりだ」

「そんな事ないわよ、例えばラジオの仕事とかなら出来るでしょ。だから早く元気になって」

「もう無理だって、転移していたんだぜ。この命だっていつまで持つか分からないよ」

「そんな事ない、悲しい事言わないでがんばってよ。それにあなたがこの病気に打ち勝つ事で同じような病を持つ人たちの励みになるわ。だから元気出して」