この時も杏奈のドキドキは止まらずにいる。

(わあ、あたし遥翔とアドレス交換なんかしちゃっている、良いのかな? あたしなんかがこんな事して)

「それが僕のアドレスだから、東京に出てきたら連絡くれる? 仕事中だったりするとすぐには返信できないかもしれないけど気付いたらなるべく早く連絡するから」

「あたしなんかが遥翔に連絡なんかして良いんですか?」

「何言っているの、良いからアドレスを交換したんじゃない」

「ありがとうございます。上京する前でも連絡しちゃダメですか?」

「良いよ、辛い事とかあったらいつでも連絡して、聞いてあげる事くらいはできるから」

「ありがとうございます!」

その後遥翔は西の空へ視線を向けた。

「だんだん陽が傾いてきたねぇ」

「はい、もうじきすごく綺麗な夕陽が見られますよ」

二人が浜辺で陽が落ちるのを見守っていると更に陽が傾いて行きオレンジ色に染まった夕陽が海を紅く染め、ゆっくりとその海の中に落ちていった。

「ほんとだすごい綺麗な夕陽だね、こんなきれいな夕陽初めて見たな、感動ものだよ。今日は久しぶりに良い一日が過ごせたな? いいリフレッシュになったよ。杏奈ちゃん今日は一日ありがとう、こんな貴重な体験させてもらって来たかいがあったよ。これは僕からのお礼のプレゼント」

遥翔は杏奈の頬にやさしくキスをした。あまりに突然の出来事に驚いた杏奈の頬が夕陽色に紅く染まった。