この日杏奈が見守る中遥翔が懸命にリハビリを続けていると、手すりにつかまりながらも僅かではあるが歩くことが出来たのだ。興奮した様子で杏奈に告げる遥翔。

「歩けた、歩けたよ杏奈!」

「うん見ていたよ。おめでとう歩けたね」

「もっとがんばってこの足を完全に自分のものにするぞ!」

「うんがんばって、応援しているからね」

この時ようやく立ち直った遥翔の姿を見て杏奈は嬉しくてたまらなかった。

対して遥翔は僅かながらも歩くことが出来、一歩前進した事で俄然やる気が出ていた。

ところがその翌日、遥翔は衝撃の事実を突き付けられることになる。

この日両親のいない遥翔は代わりに事務所のマネージャーである五十嵐が病院に呼びだされ、五十嵐と共に辛い現実を言い渡される事となる。

病室にやってきて説明する渡辺医師。

「何ですか先生五十嵐さんまで呼んで、もしかして退院ですか?」

「いえ残念ながらそうではありません」

「だったら何なんです、退院でもないのにどうして五十嵐さんまで呼んだんですか?」

「本日は突然お呼び立てして申し訳ありません。本日マネージャーさんまでお呼びしたのは遥翔さんの病状の事なんですが、遥翔さん気をしっかり持ってね」