遥翔がようやく颯太の死を乗り越えた頃、その姿はリハビリテーションルームにあった。

颯太の死に対するショックから暫くの間リハビリを行えずにいた遥翔であったが、この日ようやくの再開となった。

この日いつもと違う事と言えば、この日は杏奈がオフの為久しぶりに遥翔のリハビリに付き添っていた事くらいだった。

ところが何日もリハビリをサボったために足を動かす事さえままならない状態にまで戻っていた遥翔。

それでも最初は自分が悪いとの思いから文句も言わず懸命にリハビリに取り組んでいたのだが、なかなか言うことを聞いてくれない自分の右足に苛立ち始めていた。

「ちくしょう、この前までは歩く事だって出来たのになぁ？　なんでなんだ、なんでなんだよ佐藤さん」

遥翔の苛立ちながらの問い掛けに応える佐藤であったが、その表情からはいつもの優しい雰囲気は消えていた。

「仕方ないよ遥翔君、何日もリハビリをサボっていたからね。また一からやり直しだ」

「仕方ないね、分かったよ。全部自分が悪いんだよね」

その後も懸命にリハビリに励んだ遥翔であったが、その時は意外と早くやって来ることとなった。