次の一言で遥翔は地獄に突き落とされる感覚に襲われてしまい、颯太の父親に対しおめでとうなんて言ってしまった事を後悔する事になる。

「昨日急変しまして、夜遅く颯太は天国へと旅立ちました」

「どうして、そんなはずありません。颯太は必ず病気に打ち勝つって言ってくれました。そんな悪い冗談辞めてくださいよ! ウソですよね、ウソって言ってください!」

「ウソなんかじゃありません、颯太は死んだんです! もう二度とこの手で抱きしめる事も、パパって呼んでくれることもなくなってしまったんですよ」

終始うつむいている父親の瞳からはこらえきれない涙が一気にあふれ出ていた。

その日の午後杏奈が見舞いにやって来たが、依然俯き落ち込んだままの遥翔。

「こんにちは遥翔さん、約束通り早速颯太君の所に行きましょう」

「杏奈か、ごめんもう良いんだ」

「どういう事?」

「もう行かなくて良いんだよ」

この時の杏奈は落ち込んだ表情で颯太の所に行かないなどと言い出した遥翔に一体どうしたのかと疑問に感じていた。