数日後、思わぬ人物が遥翔のもとを訪れた。この日杏奈がいつもの様に遥翔の見舞いに来ているとドアをノックする音に応える杏奈。

「はいどうぞ!」

その声に病室へと入ってきたのは幼いころから仲間たちと家族同然に育った施設の園長であった。

「園長先生じゃないですか、わざわざ来てくださったんですか? ありがとうございます」

「園長先生ってもしかして遥翔さんが育った施設の?」

杏奈の問い掛けに園長が応える。

「ええそうよ、あなたが杏奈さんね、可愛らしいお嬢さんね」

「ありがとうございます、お世辞でもうれしいです」

この時気を利かせた杏奈は少し早めに病院を後にしようと考えた。

「遥翔さん、あたし仕事があるのでそろそろ帰らないといけないからこれで失礼するね、では園長先生ごゆっくりして行ってください」

「ありがとう、杏奈さんもお仕事頑張ってね」

「はいありがとうございます、では失礼します。遥翔さんまた来るね」

「いつもありがとな、仕事頑張れよ」

杏奈が病院を後にすると園長は遥翔との会話に戻る。