「畑中さん今日はこの後仕事ないでしょ、あたしを病院まで連れて行ってください。こんな事態なんだからもういいですよね。それともこんな時でもまだ会うなって言うんですか」

瞳に涙を浮かべ必死に訴える杏奈。

「まさか、すぐに病院に行きましょう」

「お願いします」

こうして杏奈は畑中の運転する車で病院に向かったが、当然のごとくその車中では流れゆく景色を眺める余裕などなくただただ遥翔の無事を祈るばかりであった。

病院に着いた杏奈は周りの目も気にせず一目散に受付に向かう。

「すみません遥翔さんはどこですか、どこにいるんですか?」

「申し訳ありません。関係者以外の方には御教え出来ないんですよ」

「あたしは関係者です、そんな事言わずに教えてください」

「申し訳ありません、有名人の方なので」

この時受付の女性は、突然飛び込んできた女性が杏奈だとは気づいていなかった。