「なんか暗い話になっちゃったね、話題変えようか」

ニコッと微笑むと更に続ける遥翔。

「杏奈ちゃんさぁ、明日も時間あるかな?」

「大丈夫ですけどなんですか?」

「明日もう一日だけ僕の彼女になってよ」

「えーっあたし彼氏いるって言ったじゃない。それにさっきは今日一日だけって言ってたじゃないですか、明日には帰るからって」

遥翔の突然の思わぬ提案に驚く杏奈。

「杏奈と話していたら楽しくて、良いじゃんもう一日だけデートしてくれないかな?」

「どうしようかな?」

「頼むよ、彼女も作る事の出来ない哀れな男にさ」

嬉しい気持ちを抑えつつ、遥翔の為と思いその願いを断る杏奈。

「やっぱりダメよ明日には帰らないと、マネージャーさんも探しているだろうし。それに大勢のファンのみんなが待っているんじゃないの? だいいち今こうしている時点でもうデートしているようなものじゃない?」

「それもそうだな? 分かった、杏奈ちゃんがそこまで言うなら明日帰るよ。ごめんなわがまま言って」

「別にいいわよ、気にしないで」

この後杏奈は様々なスポットを案内し、最後に島の西側の浜辺で夕陽を眺めようと日が暮れるのを待つ事にした。