その後大学病院へと着いた五十嵐は遥翔が処置室へと運ばれていくのを見届けるとすぐに事務所に連絡した。

「もしもし社長」

この時岩崎は声の主が五十嵐だという事にはすぐに気付いたが、この重く沈んだ声に何か言いようのない不安に駆られていた。

「社長遥翔が、遥翔が」

『落ち着きなさい、一体遥翔がどうしたと言うの?』

「遥翔が倒れました」

『なんですって、それで遥翔の様子はどうなの! 無事なのよね』

なによりも先に遥翔の容態を心配する岩崎。この時岩崎は突然の出来事にこれしか言う事が出来なかった。

「突然痛そうに膝のあたりを抑えて倒れて今救急車で大学病院に運ばれてきたところです。今処置室で処置を受けているところなんですがあたしどうしたら良いのか」

五十嵐は不安のあまり泣き出してしまった為、自分がしっかりしないといけないと感じた岩崎は懸命に言葉を絞り出す。

『しっかりしなさい、あなたが泣いてどうするの。あなたは遥翔のマネージャーなのよ、そのあなたがしっかりしなくちゃダメじゃない。とにかく遥翔のそばについていてあげなさい』

「はいわかりました」

指で涙を拭いながらも返事をする五十嵐。