「待ちなさい、そこって遥翔が住んでいるとこじゃないの? ダメよそんなとこ、その様子だと遥翔もこの事知っているようね、なぜこんな事したの」

「ダメですか?」

「良い訳ないでしょ!」

「どうしてですか?」

「あなたたちの関係に気付いてないとでも思うの?」

(まったくこの子たちったら一体何考えているんだか、何か変な噂が立ったらどうするつもりなのかしら?)

「なんですかあたし達の関係って? あたし達畑中さんが思っているような関係じゃないですよ、あたしが一方的に想っているだけです。それにもちろん部屋は別ですよ」

「当たり前でしょ、同棲なんてとんでもないわ、とにかくそこはだめ」

「ダメって言われてももう契約は済ませちゃいました」

「何勝手な事しているの」

畑中に叱られてしまった杏奈はうつむき謝罪するが、それでもこのマンションに住めるよう懇願(こんがん)する。