翌日からは杏奈も仕事に復帰したが、それでも独りの時間が出来ると恐怖感が湧き上がってきてしまい仕事に集中する事が出来なかった。

杏奈が仕事をしている間事務所の方でもマンションを探していたが、条件に合う所がなかなか見つからず困り果てていた。

もちろん本来ならば杏奈自身が自分で探すべきなのだろうが仕事が忙しくなってきた為にそうもいかず、仕方なく事務所でかわりに探しており最後に候補となった所を杏奈の意見を聞いて決めようと考えていた。

まさか遥翔の住むマンションに杏奈が住もうとしているなんてこのとき事務所の誰が思っていただろう。そんな中杏奈のケータイに遥翔からメールが届いた。

『杏奈ちゃんごめんね遅くなって。取り敢えず一番安い部屋で聞いてみたよ、もちろん一階は避けたから安心して、家賃は管理費込みで七万七千円、たぶんこれなら杏奈ちゃんでも払えるんじゃないかな?』

そのメールに気付いた杏奈は、東京と言う土地柄にもかかわらずオートロック付きでこの家賃の安さに驚きながらもすぐに返信メールを打った。

「遥翔さんありがとうございます、メール見ました。これくらいならあたしでも何とかなりそうです!」

『そう良かった、管理会社に連絡しておくから今度一緒に部屋を見てみると良いよ。さすがにその時は僕も一緒って訳にいかないけどね』

「はい、何から何まで色々とありがとうございます」