遥翔の提案に嬉しく思いつつも困った表情をしてしまう杏奈。

「でもあたしあまりお金持っていません」

「大丈夫こんな事態だ、事務所が持ってくれるよ事情が事情だからね。それがダメなら僕が出してあげても良い、そうと決まったら今すぐここを出なきゃ、ホテルまで車で送るよ」

「ありがとうございます」

「その前に畑中さんに連絡しておかなきゃ、君のマネージャーだからね」

畑中に電話をかけようとする遥翔に杏奈が不思議そうな表情をしながら問い掛けた。

「遥翔さん畑中さんのケータイ番号知っているんですか？」

次の遥翔の返答を聞いて思わぬ真実に驚きながらも納得する事になる杏奈。

「言ってなかったっけ、畑中さんは僕のデビュー当時のマネージャーだったんだ。たぶんまだ番号は変わってないと思うんだけど」

「そうだったんですか、全然知りませんでした」

その後遥翔は畑中に電話をかける。

『もしもし遥翔？　珍しいじゃない遥翔から電話してくるなんて、一体どうしたの？』

「畑中さん大変なんだ、杏奈ちゃんがまずい事になった」

遥翔から聞かされたそんな言葉に何か言いようのない不安に駆られた畑中。