「あたし? あたしの名前は杏奈って言います」

「へぇ、かわいい名前だね。歳はいくつ?」

「十八歳ですけど」

「十八かぁ、じぁあ高校生?」

「そうです。でもこの島には学校は無くて本土の高校に通っているんです。普段は寮生活をしているんだけど今は夏休みで帰ってきているんです」

「そうなんだぁ、この島の子たちは高校生になるとみんな島を出なきゃならないんだね」

「はいそうなんです。だけどあたしが小さかった頃はこの島にも小中学校があったんですよ」

「小中学校ってことは小学生と中学生が同じ校舎で勉強するの?」

「はいそうです。でも今ではその学校も生徒数不足で廃校になってしまいました。それで今では小学生や中学生達もあたし達の様に隣の島に行って隣の島の小学校や中学校に通っているんです」

「そっか、ほんと大変なんだね毎日」

「でも生徒数が少ない分進級してもクラス替えがなくそのまま進級していくから、クラスメイト同士お互いの絆が強い気がするな?」

「そうなんだぁ、なんか良いねそう言うのって。僕も将来子供が出来たらこんなのどかな土地でのびのびと育てるのも悪くないなぁ?」

遥翔の言葉に何故か杏奈はあるはずもないであろう遥翔との将来を思い浮かべていた。

(遥翔が将来ここに住むのかぁ、その時遥翔の隣にはあたしがいたらいいなぁ? なんてあたし何考えているんだろ、そんな事ある訳ないよね……)