「ありがとうそこまで言ってくれて」

そこへ絵梨も続く。

「ありがとうございます隼人さん。あたしなんて馬鹿な事をしてしまったんだろう、こんなに良い人を傷つけてしまうなんて。被害届けも出さないでいてくれて本当に感謝しています」

この時隼人の口から放たれた言葉は彼の優しい性格を表していた。

「もう気にしないで良いから、本当に申し訳ないと思っているなら絵梨ちゃんも早く幸せになって、それが何よりの僕への謝罪の言葉になるから」

「ありがとうございます」

この時絵梨の瞳にはきらりと光る一筋の涙がこぼれていた。

数日後隼人たちのもとに隼人の両親が尋ねてきた。

「来ると思っていたよ」

「そう、だったら話が早いわね」

すると陽子は優の方に顔を向ける。

「優さん、何時までここにいるの? 早く出て行きなさい」

「何言っているんだよ母さん、この前までは優に対してあんなに優しくしてくれていたのに」

「そりゃそうよ、でも身内に犯罪者がいる家族とどう付き合えばいいと言うの?」

「言っただろ、あれは事故だったんだよ。だから絵梨ちゃんもすぐに釈放されたじゃないか!」