「何言っているのよ隼人、絵梨のせいで隼人はこんな危険な目に遭って命を失いかけたのよ、それなのに被害届けも出さないなんて」

「だったら優は自分の妹が前科者になってもいいと言うのか?」

「それは嫌だけど、仕方ないじゃないそれだけの事をしてしまったんだから」

「それはそうかもしれないけどこう考えてみたらどうだ? 絵梨ちゃんをここで助けておけば彼女も考えを改めるかもしれない。それに俺の両親だって身内に前科者がいる人との結婚は認めないって言いだすかもしれないじゃないか、逮捕された時点で手遅れかもしれないけどな?」

(隼人ったらそこまで考えてくれていたの?)

「分かったらもうこの件は終わり、とにかく被害届は出さないから、分かったね」

「分かったわ、被害を受けた本人がそう言うなら仕方ないものね」

その後回復に向かい退院した隼人のもとに優の両親がやってきた。

「いらっしゃいパパ、ママ、さあ上がって」

「おじゃまするわね」

両親が玄関の中に足を踏み入れると何やら外に向かって声をかける恵美子。

「なにしているの、あなたも入りなさい」

その声に応えるように申し訳なさそうにそろりと玄関に入ってくる絵梨。

「なによあんたも来たの? 一体何しに来たのよ」

怒りをあらわにする優のもとに恵美子の声が聞こえた。