その後緊急処置室へとたどり着いた優達であったが、隼人は未だ処置中であり仕方なく優達は緊急処置室の前で待たなければならなかった。
 
優たちが不安な気持ちで待っているとそこへ小さな男の子を連れた若い女性が駆け寄って来た。

「佐々木さんのご家族の方ですか?」
 
突然の事に困惑しながらも問いかけに応える優。

「はい、私は彼の婚約者です」

優のそんな言葉に余計に申し訳なく思った女性は、今にも泣きだしそうな表情で深々と頭を下げ謝罪する。

「申し訳ありません! その様子では今日は結婚式のはずだったようですね、息子のせいでこんなことになってしまって本当に申し訳ありません」

「突然なんですか?」

陽子が戸惑いながらも尋ねると更に女性は続ける。

「申し訳ありません、佐々木さんが事故に遭ってしまったのはうちの子のせいなんです、謝っても謝り切れません! 本当に申し訳ありません」

深々と女性は頭を下げる。

「一体どういう事ですかそれは!」

この時陽子の言葉には怒りが満ちていた。

対して優は隼人の無事を祈りつつ静かに処置が終わるのを待っていた。