その後再び電話が鳴り響き受話器を取るもののすぐに切れてしまうという事が何度か続き、仕方なく優は電話線を抜いてしまうしかなかった。

これにより静寂を取り戻した二人はようやく眠りにつく事が出来たのだが、すぐに朝を迎える事となった。

「おはよう隼人、夕べは大変だったけどあれから眠れた?」

「あまり眠れなかったよ、優はどうだった?」

「あたしもよく眠れなかったわ」

「一体誰があんな事したんだろうな?」

「決まっているじゃない、こんな事信じたくないけどきっと絵梨の仕業よ」

優のこの発言に信じられないと言った様子で尋ねる隼人。

「そんなバカな、いくら何でも絵梨さんがこんな事するかな?」

「あたしだって信じたくないわ、でも今の絵梨だったらやりかねないわ。それに絵梨だったらあたしのケータイ番号を知っているじゃない。この家の電話番号を知っていたのは驚いたけどもしかしたらあたしのスマホのアドレスを盗み見たのかもしれないわ」

「確かにその可能性はあるけど、でもいつどこで」

「それは分からないけどでもきっとそうよ」

「それにあの絵梨さんがここまでするなんて僕にはどうしても思えないな?」

「そうは言っても隼人は記憶をなくす前の絵梨の事は覚えてないでしょ」