最後に放った隼人の問いかけに優は笑顔を浮かべ応える。

「そうよ、あたしたち隼人が事故に遭う前はお互い呼び捨てで呼び合っていたの」

「やっぱりそうなんだね、じゃあこれからはお互いそうしよう」

そんな二人のもとに担当医師の石川がうれしい知らせをもってやって来た。

「どうですかお加減の方は」

優しい笑みを浮かべ語り掛ける石川医師。

「先生もうどこも悪くないですよ、これで記憶が戻ってくれればいいんですが」

「そのようですね」

「実は今日は佐々木さんに良い知らせを持ってきたんです」

「なんですか、良い知らせというのは」

「身体的にはもうどこも悪くない、あとは記憶が戻ってくれればいいだけです。おめでとう佐々木さん、退院ですよ」

「ほんとですか先生、家に帰れるんですね」

これでもかというほどの満面の笑みで喜びを表現する隼人。

「そうだね、あとは記憶が戻るのを待つだけだから在宅での治療に切り替えましょう」

「ありがとうございます先生」

「退院の予定日は今度の土曜日にしましようか」

「分かりました先生、今までお世話になりました!」