「なんだバレてたんだ。思ったより早かったわね、そうよ、隼人の本当の婚約者は優よ、それがどうしたっていうのよ。あたしの方が隼人を好きな気持ちは負けないんだから」

がっくりとうなだれ静かな声で絵梨に対し諭すように言う隼人。

「君が僕の事を好きでいてくれるのはうれしいよ、でも人の婚約者を奪うような真似をするような子を僕は好きになれない、それも自分の双子の姉から奪うなんて人としてどうかしてる」

隼人の言葉に絵梨は瞳に涙を浮かべつつ尋ねる。

「じゃあやっぱり隼人は優の事が好きなの?」

「それは分からない、まだ記憶が戻ってないからね。でも婚約していたという事はお互いに惹かれるものがあったんだろう」

「あたしが入る余地はないのね」

予想は出来ていたもののがっくりと肩を落とし尋ねる絵梨。

「申し訳ないがそう言う事になるな?」

「だったら残念だけどあたしは引き下がるしかないようね、もうじき優も来る頃だろうから帰るわ、お大事にね」

こうして肩を落とした絵梨はとぼとぼと病室を後にしたが、これで引き下がる絵梨ではなかった。