『それよりも優さん聞いて、隼人が目を覚ましたの』

「そうでしたね」

『なによその気のない返事』

「ごめんなさい、別に変な意味はないんですけどちょっと」

『何ちょっとって、何かあるなら話を聞くだけならできるわよ』

「いえ良いんです、大丈夫ですから」

『そう? ところで優さんも隼人が目を覚ましたのを知っているならこの事も知っているわよね、隼人が記憶を失ってしまっていること』

「はいもちろん知っています」

『あの子記憶を取り戻してくれるかしら?』

「取り戻してくれないと困ります! 大丈夫、きっと記憶を取り戻してくれますよ、隼人を信じましょう」

『そうね、あたしたちが信じてあげないとね』

この日の夜、記憶を失ったためとはいえ自分から隼人が去って行ってしまった事と、実の妹に裏切られたことにより悲しみが込み上げ優は一晩中泣き明かしてしまった。

それでも翌日もまた隼人のもとに朝から見舞いに行く優であった。