「どうするパパ、あまり腰の具合よくないんでしょ? あたし布団で寝るからパパはベッドで寝る? その方が寝起きが楽なんじゃない」

父親を気遣った優の言葉に芳雄は優しい笑みを浮かべながら返事をする。

「待てよ優、パパはまだそんな歳じゃないぞ! でもせっかくの娘の好意だ、ここは娘に甘えておくか、ありがとな優。じゃあおやすみ」

芳雄はゆっくりとベッドに体を沈めると、恵美子と優もおやすみの挨拶をしこの日は床に就いた。

翌日の優の結婚式当日、この時優は両親を目の前に最後の挨拶をしようとしていた。

この数時間後まさかの事態になるとも知らずに。

「お父さん、お母さん、今まで育てて頂きありがとうございました。あたし幸せになります」

「幸せになるんだぞ!」

涙を流しながら言ったのは父親である芳雄の方だった。

その後支度を済ませると優は我が家を後にする。

「じゃあパパママ、先に行っているね」

「あぁ気を付けてな、パパたちももう少ししたら絵梨と一緒に行くから」

 その後優は式場に着いたが、そこにはまだ新郎となるべきはずの隼人の姿はなかった。

しかし三十分たっても隼人はまだ現れず次第に優は心配になってしまう。

(隼人どうしたんだろう、まさかドタキャン? 隼人に限ってそんな事ないよね、でもそうじゃないとしたらどうしたんだろう、まさか隼人の身に何かあったんじゃないわよね?) 

それでも隼人が来ることを信じてドレスに着替えるなど式の準備をする優。