「実はお姉ちゃんね、もうずっと前から隼人にちょっかい出していたの、隼人は覚えていないでしょ? あの人は昔からそう、人の物をすぐに欲しくなるんだから、でもまさか妹の彼氏まで奪おうとするなんて思わなかったわ」

ところが優はそんな性格ではなく、絵梨が今言ったことはすべて自分に当てはまる事であった。

絵梨の口から発せられた思ってもみなかった言葉に、隼人は驚きの表情を浮かべ尋ねる。

「それ本当なの絵梨、さっきの二人は仲良さそうだったじゃないか」

「表向きはね、でも裏では結構嫌な奴なんだよ」

「そんなふうに見えなかったけどな?」

「外では猫かぶっているだけだよ、あと両親の前でもね」

この時隼人はどうしても絵梨の言葉を信じられずにいた。

「ほんとにそうなの?」

「そうだよ、ほんと性格悪いんだからあの人」

「ほんとにそうなのかな?」

隼人はまだ絵梨の言っていることが信じられずにいる。

「だけどさあ絵梨、いくらお姉さんが嫌な性格しているからって双子の姉妹なんでしょ? あまり悪く言ったらだめだよ」

「分かったわよ、これから気を付けるわ」

隼人による言葉に対し若干ふてくされながらの絵梨の言葉であった。