このやり取りに対して絵梨は一体どういうことなのかと石川医師を問い詰める。
「どう言う事なんですか先生! どうして隼人さんは自分の名前も分からないなんて事になっているんです」
絵梨が声を荒らげながら問い詰めるように尋ねると、石川医師は俯きながらも申し訳なさそうに応える。
「どうやら隼人さんは一種の記憶喪失になっているようです。恐らく頭を強く打ったのが原因でしょう」
「それって今までの事を全て忘れてしまっているってことですか?」
「それは分かりません。忘れているのは一部だけかもしれないしもしかしたら全てかもしれない」
「隼人さんはこのままずっと記憶を失ったままなんですか?」
「それも分かりません。一時的なものかもしれないしこのまま一生過去の記憶を思い出せないかもしれない」
がっくりとうなだれる絵梨であったが、まだ希望は残されていることでどこかほっとする自分がいた。
「そうですか、ありがとうございました」
その後石川たちが病室を後にすると、絵梨に対し隼人が静かな語り口で尋ねてきた。
「あのっ!」
「なんですか隼人さん」
「僕の名前が隼人っていうのは分かりました。では名字はなんて言うんですか? 少しでも自分の事を知っておきたくて」
それに対し優しく教える絵梨。
「名字は佐々木って言うんですよ、佐々木隼人。これがあなたの名前です」
「そうですか佐々木隼人。それで君はどなたでしょう? すみませんほんとに覚えていなくて」
「いえ良いんですよ気にしなくて」
「どう言う事なんですか先生! どうして隼人さんは自分の名前も分からないなんて事になっているんです」
絵梨が声を荒らげながら問い詰めるように尋ねると、石川医師は俯きながらも申し訳なさそうに応える。
「どうやら隼人さんは一種の記憶喪失になっているようです。恐らく頭を強く打ったのが原因でしょう」
「それって今までの事を全て忘れてしまっているってことですか?」
「それは分かりません。忘れているのは一部だけかもしれないしもしかしたら全てかもしれない」
「隼人さんはこのままずっと記憶を失ったままなんですか?」
「それも分かりません。一時的なものかもしれないしこのまま一生過去の記憶を思い出せないかもしれない」
がっくりとうなだれる絵梨であったが、まだ希望は残されていることでどこかほっとする自分がいた。
「そうですか、ありがとうございました」
その後石川たちが病室を後にすると、絵梨に対し隼人が静かな語り口で尋ねてきた。
「あのっ!」
「なんですか隼人さん」
「僕の名前が隼人っていうのは分かりました。では名字はなんて言うんですか? 少しでも自分の事を知っておきたくて」
それに対し優しく教える絵梨。
「名字は佐々木って言うんですよ、佐々木隼人。これがあなたの名前です」
「そうですか佐々木隼人。それで君はどなたでしょう? すみませんほんとに覚えていなくて」
「いえ良いんですよ気にしなくて」