「二人ともその辺にしてよ、パパも今からそんな事言わないであげて、まだ隼人さんに障害が残るって決まった訳じゃないじゃない。まだ今日入院したばかりなのに今からそんな話していたら不謹慎よ、それにこういう話は優が家にいる時で良いじゃない」

「確かにそうだな? 悪かったよ優、とにかく今日の所は帰るから、優はどうするんだ、式が終わった後隼人君のマンションに移る予定だったけどとりあえず今日は自宅に帰って来るか?」

「そうね、とりあえず今日は家に帰って明日新居に移ろうかな?」

「そうか、じゃあ待っているからな、とにかく命は助かったんだ、あまり気を落とさないようにな」

「うん気を付けて帰ってね」

その後芳雄たちが玄関を出ると、この病院に来た頃には東の空を向いていた太陽がこの時には既に西の空に大きく傾き空を茜色に染めていた。

病院を後にした芳雄たちを見送ると再び集中治療室へと戻っていく優。

「ただいま戻りました」

「おかえりなさい、お母さんたち何か言っていた?」

陽子が優に尋ねると優がそれに応える。

「いえ特に何も、ただ気を落とさないようにと言ってくれました。とにかく命は助かったんだからと」

「そうね、ほんとそうだわ」

ぽつりと呟くと更に続ける陽子。