「いえ構いませんよ、別に気にしていませんから、ですから冴島さんも気にしないでください」

晴樹のそんな言葉に心が救われた気がした芳雄。

「ありがとうございます、そう言って頂いて少しは気が楽になります。それよりも隼人君です、まだ目が覚めないですが大丈夫でしょうか?」

「先生も命には別条ないと言ってくれているんです、心配ないでしょう」
 
晴樹の願いを込めての言葉であり、そんな晴樹は芳雄に対し更に続ける。

「それよりお帰りになるのではありませんでしたか? ここは大丈夫なのでもうお帰りなっても構いませんよ。誤解しないでくださいね、決して追い返すとかではありなせんので」

「分かっております、先程自分で言いましたものね。では私たちはお先に帰らせていただきます、どうかお大事になさってください。では失礼します」

両親たちに向け優が一声かける。

「じゃあ玄関まで送るね」

「ありがとう、じゃあ行こうか」

こうして芳雄たちは静かに集中治療室を後にした。

その後玄関までやって来た芳雄たちに対し優は静かな語り口で礼を言うと共にお詫びの言葉を口にする。