それでも落ち着いて説明をする医師。

「落ち着いてください、取り敢えず命に別状はありません。ですがまだ意識が戻らないのと頭を強く打っているようで後遺症が残らなければいいのですが……」

「そうですか、とにかく命は助かったんですね、それだけでも安心しました」
 
ほっとするように言い放った優の言葉であった。

「これからは集中治療室で様子を見て、数日後問題なければ一般病棟に移れるかと思います」

「そうですか、ありがとうございます」

優と同様ほっとするように言ったのは母親の陽子であった。
 
その時妹の絵梨が医師に尋ねた。

「あのっどこか着替える所はないですか?」

「着替えるところですか?」
 
医師の声とほぼ同時に優が尋ねる。

「絵梨どうしたの突然」

「どうしたのじゃないわよ、優自分の格好鏡で見た? いつまでもそんな恰好でいられないでしょ、着替え持ってきたからどこかで着替えさせてもらわないと」
 
その声に、あらためて自らの姿を見た優はハッとする。

(そうだった、あたしウエディングドレス着たままだった)

そんな彼女たちに医師が語り掛ける。