学校帰りに寄ったファストフード店。空腹を満たそうとハンバーガーにかぶりつく。
「なに見てんの?」
さっきからずっと、向かい合って座るメグに穴が開くほど見つめられていた。
袋から出したストローをカップに挿し、ハンバーガーの包み紙を半分ほど開き、ポテトを一本つまんだあとでソースの飛び出たハンバーガーにかぶりつく。俺のその一連の動作を、メグはストローを上下に動かし、カップの中にある大量の氷をつつきながら見ていたのだ。
「んー。お弁当のおかず、なんだったのかなぁって思って」
スッと手を伸ばしたかと思うと、俺の口の端についていたソースを人さし指でそっと拭った。
「唐揚げだったよ」
メグの拭った場所を親指で拭った俺は、そのまま指の先を舐めた。
メグは俺を真似て、ソースのついた人さし指を口に含んだ。
「どっちが美味しい?」
「………」
メグの欲しい答えを知っている俺は、「ばあちゃん」とだけ答えてポテトを一本取った。そしてそれをメグの唇にちょんとつけると、メグはそれを遠慮がちにくわえ、モグモグと食べはじめた。
ばあちゃんの唐揚げはニンニク多め。ほんのり甘いのは味醂が入っているからだと聞いたことがある。
「じゃあ、汐音ママのは?」
再びストローで氷をつつきはじめたメグ。先ほどより手の動きが少々乱暴になっている。でも。
「どんな味?」
手の動きとは逆に、弱々しい声。
メグの手に自分の手を重ね、動きを制止する。