「いや、大丈夫!神に誓って。マジで。ほんとに!そこんとこ、大丈夫だから。安心して」
察しのいい小倉が、信じてくれと手を合わせる。彼女の友だちの妹、らしい。それじゃあ下手に動けないか。納得。
「で?」
中学生に視線を向ける。
目が合った瞬間、みるみるうちに両頬が赤に染まる。小倉が言うように、俺に好意を持っていることは明らかだった。
「じつはさ、」
彼女の代わりに小倉が口を開く。
「うんうん」
俺の代わりに木崎が相槌を打つ。
「なにしてんの?」
左腕にスルリと絡まる腕。嗅ぎ慣れた甘い香り。
タイミングよく現れてくれたのは、メグこと本田愛実。
「……あ。メグ。おっ、…はよ」
メグが登場した途端、小倉の視線の先があちこち移動する。
「……お、」
さっきまでニタニタ笑っていた木崎が口をきゅっと結ぶ。
「JC囲んでなにやってんの」
「……え、……あぁ。ってか、今日はこの時間なん?」
「あ、うん。汐音に渡すものがあって」
「へぇ、そっか。そーなんだ、」
そりゃ、気まずいだろ。言いにくいよな。
あはは、と笑った小倉がチラリと「JC」を見た。さて、どうしたらいいものか、と。
きちんと制服を着るJCとは真逆に、茶色の髪を巻いたJKは、膝上何センチなのかわからない丈のスカートからのぞく脚を俺の脚にぴたりとつける。そして、JCに向かってひとこと。
「悪いけど、あたしのだから。」