「そう。それで?」


「それで、君と青木君が同じアパートの部屋に入っていったから、だから……」


また歯切れが悪くなった。


でもこれは聞かなくてもわかる。


英介は舞と青っちのあらぬ姿を想像したに違いない。


その証拠に英介の顔はまた赤く染まっていた。


「青っちは手当をしてくれただけだよ」


「わかってる。それでも気になって、なかなか帰れなくて。そしたら君が出てきたんだ。制服は綺麗になってた」


舞は頷く。


どこからか隠れて見られていたと思うと気分はよくなかったが、仕方ないことだと諦めた。


「それから僕は、出てきた青木君に声をかけたんだ」


「青っちに? どうして私じゃなかったの?」


「また、嫌がられると思ったから」


その言葉に申し訳なさがこみ上げてくる。


英介を遠ざけたのは紛れもなく舞だ。


「それで、部屋であったことを聞いたんだ。そしたら反対に青木君から質問をされた。『舞をイジメている奴らは誰だ』って」


「そっか。それで教えたんだ?」


「うん。そしたら止める暇もなく青木君はどこかに行ってしまったんだ。きっと3人を探しに言ったんだろうね」


「その通りだと思う」