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「そんなの、青っち悪くないじゃん!」


話をすべて聞き終えて舞は思わず大きな声を出していた。


青っちは苦笑いを浮かべている。


「暴力を使ったことは間違ってないから」


「そうだけど……」


それでも悔しさがこみ上げてきて下唇を噛み締めた。


「それに、前のクラスではちゃんと理解してもらえたはずだ」


「本当に?」


舞は愛に届いたメッセージを思い出していた。


あれは完全に青っちを悪者として認識しているように見えた。


「あぁ。だから噂を流してるのはきっと他のクラスの連中だ」


「それがわかってるなら、誤解を解いてもらったらいいじゃない?」


「いいんだ。理解してほしい人間にだけ、わかってもらっていればそれでいい。他の人たちは自分の人生にとって重要じゃないんだ。だから、勝手に言わせておけばいい」


どうあがいてみても、俺の人生にそいつが踏み入ることは不可能なんだから。


青っちはとても穏やかな声色でそう言って、微笑んだ。


その笑顔に裏を感じ取ることはできなくて、舞は落ち着いた気分になって行くのを感じる。


これほど余裕のある同級生を舞は見たことがなかった。


その時乾燥機が止まる音が聞こえてきたのだった。