相手は3人いたけれど、青っちにかかれば朝飯前の喧嘩だった。


イジメられていたクラスメートはいつの間にかいなくなっていたけれど、青っちは自分のしたことを後悔したりはしていなかった。


そして翌日。


青っちが暴力事件を起こしたことは学校中の噂になっていた。


あの3人組が適当なデマを流したのだ。


デマの中では青っちは完全に悪者扱いされていた。


3人が放課後帰ろうとしていたら、突然青っちが後から襲いかかってきた。


そんな風に改ざんされていたのだ。


それでも、いじめられっ子だったクラスメートが必死にデマをかき消そうとしてくれていた。


傷だかけの自分の体を見せて『あの3人にやられた。青木は僕を助けてくれたんだ』と。


先生も生徒も大半がその言葉を信じてくれていた。


青っちの普段の素行や、3人組の生活態度を見ていれば一目瞭然のことだったからだ。


けれど黙っていない人間もいた。


3人組の親たちだ。


彼らは息子の言い分を信じ込んで青っちになんらかの処分を申し出た。


学校側がどれだけ説明をしても話は平行線のままで、1っヶ月ももめた後ついに学校側が折れる形になった。


青っちは一週間の自宅謹慎処分となったのだ。


すぐに退学になる案件を自宅謹慎処分で済ませてやったのだという学校側の態度に、今度は青っちの担任教師が反論した。