☆☆☆

あの3人の言葉なんて信用する必要はない。


どうせ嘘ばっかりだ。


あのメッセージで細工して作ろうと思えばいくらでもできる。


それでも、そうやって考えていること自体が、愛から聴いた噂を気にしているということだった。


舞がC組に入ったときにはすでに2人で遊園地に行ったことは噂になっていて、教室に入るやいなや陰口を叩かれた。


それもよくないものばかりだ。


転校生に手を出したとか、その転校生は暴力事件を起こしたとか。


みんな舞に聞こえるような声で話をして、時折節操のない声で笑い出す。


いつもはこれくらいのこと気にしない舞だけれど、青っちのことが絡んでいるのでみんなの声がいちいちトゲになって突き刺さる。


できるだけみんなの声を聞かないように自分の席につき、すぐに文庫本を取り出して読み始めた。


辛いとき、逃げ出したいことがあったとき、活字の世界へなら簡単に逃げ込むことができる。


現実がどれだけ辛くて厳しくても、小説の中なら自分を傷つける人はいない。