でもあれはやりすごすべきではなかったのだ。


舞は唇を噛み締めた。


絶対に知られたくない3人に知られてしまっていた。


どう言い訳をしようか考えようにも、頭の中は真っ白でなにも考えられない。


変に言い訳をしてしまうと、余計にまずいことにもなりかねない。


もう、八方塞がりだった。


「あんたも可哀想だね。あんな怪物に気に入られてさぁ」


そう言ったのは愛だ。


愛はさっきから含みのある笑みを浮かべている。


これから私を傷つけてやるぞと企んでいる、そんな深みのある笑みだ。


「愛は青木が元々いた学校に友達がいるんだってさ。だからさ、青木がどんなヤツだったのか聞いてもらったの。舞が騙されてたりしたら、可哀想だし?」


恵美の言葉に他の2人が笑い出す。


舞はなにも言えずにただ時間が過ぎ去っていくのを待つばかりだ。


この3人がなにを企んでいるのかわからないが、早く終わってくれればいいと考えている。


「あいつ、前の学校で暴力事件を起こして、いられなくなったらしいよ?」


愛の楽しげな声が聞こえてきて舞は息が止まりそうになった。