☆☆☆

来た時と同じバスに乗り、2人で流れる景色を見つめる。


今日という日は本当に夢のようだった。


キラキラ輝いて眩しすぎる1日は、流れ星のように一瞬で過ぎ去っていく。


バスは停留所で停車して、舞と青っちは無言で降り立った。


「明日はきっと楽しいことがあるよ」


舞の家の屋根が見えてきた十字路で青っちが言った。


「え?」


「舞が俺に言ってくれていた言葉。忘れた?」


言われて思い出した。


そうだ。


小学校4年生の頃、青っちと一緒に帰った時必ず舞はそう声をかけていたのだ。


幸せになれるためのおまじない。


小学生の舞が考えたおまじないだ。


思い出してプッと吹き出した。


まさかそんなことまで覚えているなんて、思っていなかった。


「懐かしいね」


「あぁ」


2人は一時視線を絡ませ合う。


その視線はなにかを語りたそうにしていたが、結局なにも語ることはなかった。