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学校に行く途中、ふと本屋の前で立ち止まりはられているポスターに視線を向けた。


今月発売のアルバイト雑誌のポスターだ。


母子家庭だし、何度かアルバイトをしようかと母親に相談したことがあった。


だけどそのたびに『舞は家にいて、家のことをしてくれた方がお母さん助かるの』

と言われて、それで納得してしまっていた。


だけど考えてみればうちはお金に余裕があるわけではないのだ。


いくら色々なものが援助してもらえるとしても、それにも限度がある。


もしもバイトを始めれば放課後時間も有意義なものになるかもしれない。


ぼんやりとそんなことを考えて立ち止まっていると「あれぇ? 偶然じゃん」と声がして、その声が聞こえてきた瞬間体が硬直してしまった。


それはよく聞き慣れた恵美のものだったからだ。


すぐに逃げ出せばよかったのに、硬直した体を動かすのは遅くなった。


気がつけば3人組が直ぐ側まできていて、恵美が舞の肩に手をかけたいた。


こうなると逃げるのは難しい。


心臓は早鐘を打ち始めて、嫌な汗が背中を流れていく。