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「どうしたの舞。なんだか顔色がよくないけど」


夜8時に仕事から帰ってきた母親が、舞のつくったオムライスを食べながら聞いてきた。


「そう?」


舞は自分の頬を両手で包んで首を傾げた。


小学生時代の青っちのことを、お母さんは覚えているだろうか?


聞いてみたい気もしたけれど、なんとなくやめておいた。


「風邪とかひいているんじゃない? 大丈夫?」


額にヒヤリとして心地良い手が当てられて、思わず目を細める。


「大丈夫だよ」


「そう? 夏風邪はしつこいから気をつけないとね」


「わかってる」


舞は答えて、母親の食べ終えたショッキをシンクへと運ぶ。


余計な心配をかけてこの関係を壊したくない。


その気持が、舞の中に強く存在しているのだった。