その身長を生かして青っちの前に立ちはだかったのだ。


『なんだよお前、どけろよ!』


そう言って文房具を投げつけてくる乱暴者がいても、舞はひるまなかった。


『青っちに謝れ! 青っちは男女じゃない!』


舞はそう叫んだのだ。


後にいた青っちが驚いて泣き止むのがわかった。


『わぁ! こっちには女男がいたぞ!』


『男女に女男ー!』


男子たちは更に騒ぎ立てたけれど、舞は気にしなかった。


後で泣いていた青っちに『大丈夫?』と声をかける。


涙で潤んだ目で頷く青っちに、舞は微笑んだ。


青っちは私が助ける。


青っちをイジメるヤツは、私が許さない!


「青っちって、あの青っち?」


当時のことを思い出して舞は目を丸くし、目の前の青っちを見つめた。


「そうだよ。俺あの時本当に舞に助けられたんだ」


青っちはそう言うと嬉しそうに微笑んでいる。


その笑みは間違いなく、舞の知っている青っちのものだ。