☆☆☆
「青っち、いる?」
夏休み開け、舞はオレンジ色の花を持って病室を訪れた。
ベッドに膨らみはなく、青っちはどこかへ行っているみたいだ。
完全に透明化してしまった青っちは今までに見たことがないくらいに元気で、看護師さんたちは毎回毎回青っちを探し回ることが大変みたいだ。
だけど青っちはたいてい中庭にいて、1人でトレーニングをしていた。
いつか新薬が開発されて元に戻る日が来た時にブヨブヨに太っていたら舞に見せられない。
というのが彼の言い分のようだ。
「トレーニングもほどほどにしないと、看護師さんたち大変なのに」
ぶつぶつと文句を言いながら花を花瓶に入れる。
元気のいい青っちに似合う色だと思って買ってきたのだ。
それを枕元の床頭台に置こうとしたとき、病室の空気が動いたことに気がついてふりむいた。
「青っち?」
誰もいない空間へ向けて声をかける。
青っちはときどきみんなを驚かせようと、病院着を脱いでしまうときがある。
そうなると完全に存在を把握できなくなってしまうので、こうして声をかけるのだ。
しかし、返事はない。
気のせいだったのかと思って花瓶を置いたときだった。
「青っち、いる?」
夏休み開け、舞はオレンジ色の花を持って病室を訪れた。
ベッドに膨らみはなく、青っちはどこかへ行っているみたいだ。
完全に透明化してしまった青っちは今までに見たことがないくらいに元気で、看護師さんたちは毎回毎回青っちを探し回ることが大変みたいだ。
だけど青っちはたいてい中庭にいて、1人でトレーニングをしていた。
いつか新薬が開発されて元に戻る日が来た時にブヨブヨに太っていたら舞に見せられない。
というのが彼の言い分のようだ。
「トレーニングもほどほどにしないと、看護師さんたち大変なのに」
ぶつぶつと文句を言いながら花を花瓶に入れる。
元気のいい青っちに似合う色だと思って買ってきたのだ。
それを枕元の床頭台に置こうとしたとき、病室の空気が動いたことに気がついてふりむいた。
「青っち?」
誰もいない空間へ向けて声をかける。
青っちはときどきみんなを驚かせようと、病院着を脱いでしまうときがある。
そうなると完全に存在を把握できなくなってしまうので、こうして声をかけるのだ。
しかし、返事はない。
気のせいだったのかと思って花瓶を置いたときだった。