涙は止められず、半透明になった青っちの頬に落ちた。


「聞いて舞」


青っちの声はさっきよりもしっかりとしている。


掠れてもいないし、呼吸も安定していた。


「俺の姿が見えなくなっても、それでも俺はここにいる。舞のそばにいる」


「青っち!!」


青っちの手が舞の後頭部へ回った。


そのままグイッと引き寄せられて、キスをする。


それは入院してから落ちていた体力の回復を意味していた。


あれだけたくさん運動して、あれだけ沢山リハビリをした。


その成果が現れているのだ。


手の力が緩んで青っちから見を離したとき、そこには誰もいなかった。


ただ、枕にくぼみがあり布団が膨らんでいる。


誰もいないのに、そこにいる。


「あ、あ……いやあああああ!!」


舞の絶叫が病室内にこだましたのだった。