それから2人で学校を出て、家から逆方向の駅へと歩き始めた。


学校から駅までは歩いて10分ほどの距離だ。


電車通学の生徒たちに紛れ込んでこっそり手を繋ぐ。


手と手がふれあった瞬間互いに目をみかわせ、かすかに頬を赤らめ、そして青っちの方からその手は繋がれた。


「ここのクレープ屋もおいしいらしいぞ」


青っちが地元のグルメ雑誌を学校に持ってきたのは、それから3日後のことだった。


あの日から2人は毎日のように放課後デートをしていて、そのたびに青っちが美味しいスイーツのお店を教えてくれるのだ。


「それもいいけど、でもちょっと控えないと太っちゃうよ」


舞は雑誌に視線を落として困ったように言った。


体重も気になるところだけれど、本当のことを言えば毎回青っちにおごってもらっていることが気がかりだった。


舞の家よりも余裕があるにしても、毎日毎日お金を払っていたらいずれなくなってしまう。


青っちもバイトはしていないし、甘えてばかりはいられなかった。


「舞は少し太った方がいいくらいなのに」


青っちはそう言って舞の細い二の腕に触れた。


舞はそれがくすぐったくて身を捩って逃げる。