英介の気持ちは知っていた。


それでも知らないふりをして、突き放した。


それなのに英介はこうして気持ちを伝えてくれる決意をしたのだ。


「僕と付き合ってほしい」


そう言われた瞬間舞の心臓がドクンッと跳ねた。


告白されたのは生まれて始めての経験だ。


こんな風に異性に想われることがあるなんて、ちょっと信じられなかった。


だけど、舞の心の中には揺るがないその人の姿があった。


青っちだ。


青っちの笑顔が舞の心を捉えて離さない。


きっと今目の前に人気俳優のリクが来たとしても、それは変わらないことだと思えた。


「……ごめんなさい」


せっかくの告白を断るなんて何様だろう。


自分でもそう思う。


だから、頭を下げたままなかなか上げることができなかった。


英介は黙っていて、時間だけが過ぎていく。