くぐった瞬間、目の前が真っ白になる。あまりの眩しさに思わず目を瞑ってしまう。

しばらくして眩しさが落ち着いてきた頃目を開けてみる。

「わ…わぁ…‼」

たくさんの人が歩いている。

たくさんの建物が建っている。

何より、全ての建物に明かりがついている事に驚いた。

「すご..‼」

初めて見る光景に目を光らせていると、不意に誰かに話しかけられた。

「…あなたがルカさんですか?」

「ひゃい!?」

驚きのあまりに腰を抜かしてしまう。

腰を抜かして気がついた。

私に足が生えてる…‼

「すごっ…‼」

「15歳の誕生日、おめでとうございます」

「え、何故あなたがそれを…?」

「15歳の誕生日にしかあの門はくぐれませんからね」

いや、そうじゃなくて…。

「あれ、そういえば名前も…」

その人の顔を見上げて思わず息を飲む。

ものすごいイケメンだ。

え?こんなイケメンいるの?マジで?

「申し遅れました。私は魔界を治める神龍です。以後お見知りおきください」

深く丁寧な礼をされ、私もつられて礼をする。

「ん〜…一旦私の家に来ますか?」

え、イケメン…神龍様の家?

「だ、大丈夫なんですか!?」

「…?」

何が?といった表情で私を見つめる神龍様。

「あの、私なんかが神龍様の家に行っても大丈夫なのかなって…」

「あぁ。そこなら問題はありませんよ。魔界での生き方が分からずに餓死してしまう人魚がたくさんいるので、魔界での生き方を教えるのも神龍の仕事の一つなんです」

「え、餓死?」

ガリガリのひょろひょろになって倒れている自分の姿を想像してみる。

うん、怖い。

「餓死は嫌です‼」

「だから私が色々教えるんです」

なるほど、と頷く。

でも、今この瞬間神龍様がここに居なかったら私も餓死する運命だったんじゃ…。

「さぁ、行きましょうか」

「あ、はい‼」

私は神龍様に手を引かれるまま歩き出した。