「でさー上司が……」
「そうなんですね大変ですね」
「そうなんだよ〜悠花ちゃんに話すとスッキリするよ」

 まあ、仕事ですからね。聞くぐらいできますよ。
 いつものように接客し、閉店近くに最後のお客様がやってきた。

「いらっしゃいませ……え、大ちゃん?」
「……ソルティ・ドッグください」

 声も雰囲気も大ちゃんだ。大ちゃんだけど、知らない人を通すつもりだな……まあいいけど。
 注文通りグレープフルーツジュースにウォッカ、塩を入れシェイクすると、氷を入れたロックグラスへ入れる。丸テーブルに座っている大ちゃんに出した。

「ソルティ・ドッグです」
「……ありがとう」

 私は容器やグラスを洗っていると、「悠花ちゃんもう上がっていいわよ」と店長に声をかけられる。

「でも、最終日だからこれ洗ってからにします」

 大ちゃんも気になるし……。

「そう? じゃあよろしく」
「はーい」

 店長が、他の人の接客に行くとなぜか寒気を感じる。

「何か、来る……」

 私は大ちゃんに近づくと、私が持っていた特別な糸で作られているお守りを彼の手に結んだ。