「おはよ、悠花ちゃん」
「おはようございます」
ここは、私がバイトしているバーでオーナー兼店長のルリさんにお世話になってもう三年経つ。
「今日は最後の日ね」
「はい。よろしくお願いします」
現在、三月下旬。予定では四月入社だったためにアルバイトを辞める日を決めていた。それが今日だったり。
「今日はソラくんくる日なんだよ」
「あ、新しい子……」
「そう。彼、かっこいいのよ」
辞めるのを撤回することもできたんだけど、新人が二人入社して私はいらなくなったのだ……まあ、退職予定だったし仕方ないんだけど。
「えー悠花ちゃん辞めるの? 今日で最後?」
「そうなんですよ……寂しいですけど」
「そっかー悠花ちゃん癒しだったのに残念だ」
私はクスッと笑いグラスにシェイクしたお酒を注ぎライムを飾るとお客様の前に出した。
「ギムレットです」
「ありがとう」
お客様が口をつけ、飲むといつも「美味しいよ」と言ってくれてその瞬間が好きだ。