「ありがとう、悠花さん……お礼はまた渡すわ!」
「ええ。お仕事がんばって」
沙知ちゃんを抱き上げ、また来た道を戻っていった。その姿を見ていると「また只働き?」と耳がもふもふさせている男が問いかけた。
「うわっ、いつからいたの!?」
「さっきだけど……」
「気づかなかった。只働きじゃないよ、ただアイスクリームを買ってきただけだから」
「だからそういうのがいけねーんだよ」
ガミガミとうるさく言うのは、大ちゃんこと猫田 大輝。大ちゃんは、猫又のあやかしで結構お金持ちらしい……。
「わかってるんだけど、私にはこういうことしかできないから」
「きた、自己否定」
自己否定してしまうのは、私には本当にこれくらいしかできないからだ。私は、退魔術が出来ない代わりに回復魔術……癒し能力が優れているらしい。一族の中で一番と言ってもいいと聞いた。
「お前はすごいからな、ちゃんと気付け?」
……まぁ、こんな感じで説教を聞くのも日常だったりする。