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スマホの画面には“選考結果のご連絡”と書かれたメールのページを開く。
「……またか」
硬い文章が続く先には【厳正なる選考の結果、誠に残念ではございますが】と書かれていてそれだけで結果が分かる。だって、これ見たの十回目だもん。
また最初からやり直しだ、明日総務課に行って自己分析シートもらってこようかな……なんて考えていると家の前に着いた。日本家屋の玄関を開けると「おっ、お嬢! お帰りなさい」と数人に会った。
「ただいま、源さん。志麻さん」
二人に挨拶をすると、私は玄関を上がり長い廊下を行き曲がると先にある部屋に入る。きっちり着ていたスーツを脱ぐと、紫地鮫小紋の着物に明るいオレンジ地の帯を締める。
帯と着物の間にスマホを入れると、私は部屋から出た。台所から朝作ったおはぎを数個タッパーに入れて風呂敷に包んだ。
「ちょっと出かけてくるね」
「悠花様、分かりました。いってらっしゃいませ」
玄関近くにいた人に挨拶すると、私は家から出て近くにある神社へと歩く。